一昨日おとゝい)” の例文
主人「申し棟梁さん、腹を立たないでおくんなさい、これは一昨日おとゝい来た番頭でお前さんの顔を知らないのですから」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それが一昨日おとゝいと昨日と空氣が冴えたので、それでなくても景色のいゝ海岸が如何にも爽快であつた。壹州に只一つ温泉場があるが入江になつて居てあたりを鯨伏村いさふしむらといふ。鯨伏はイサフシである。
壱岐国勝本にて (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
一昨日おとゝい薬を貰って帰る時、本当に薬包を手放した事はないかね」
正「新助どん誠に御無沙汰を致しました、実は桐生きりゅうきまして、一昨日おとゝい帰りまして、新八松屋で聞いて驚きましたが……これは詰らないものですがお土産に」
一昨日おとゝいでしたか、すっかり持って行った所です」
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
一昨日おとゝい帰って間もなく桐半きりはんで聞いたくらいの訳で、お見舞にきたいと思ってますが、そんな奴が這入ってゝ詰らねえ事を云うから困るんです、尾に尾を附け
事にったら貴方をば手下にするか、殺すかしてと相談しましたが、一昨日おとゝい宿屋を出る時に手強てごわい奴と思ったかして、弁当の中へ毒を入れたのでござんしょう
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おら頑固いっこくは知って居るしなあ、く来た、一昨日おとゝいから逢いたくって/\たまらねえ、何卒どうぞして逢いてえと思って、もう逢えば死んでもいやア、もう死んでも宜い
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
兼「ちょう兄い……不思議だな、一昨日おとゝいあたりからズキ/\する疼みがなくなってしまった、能く利く湯だなア」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
わしもおまえが此処に居ようとは思わなかった、一昨日おとゝい重三がお屋敷へ参り、災難とは云いながら誠にお気の毒な事に相成ったから、早速右の次第をかみへお届けをした処が
一昨日おとゝい母にも親族にも打明ぶちあけたのは僕があやまりました、お前はよく今まで己を騙したね
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それどころじゃない、立派な亭主持の身で有りながら悪いことをするものが世間にはいけいこと有りやす、一昨日おとゝいたなで盆の余り勘定をしていると、彼処あすこでは酒も売り肴もあるもんだから
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
実は一昨日おとゝいの晩おれがうと/\していると、清水の方から牡丹の花の灯籠をげた年増としまが先へ立ち、お嬢様の手を引いてずっとおれうちへえって来た所が、なか/\人柄のいゝお人だから
旦那さんおっかねえじゃねえか、一昨日おとゝいでっけえ火事があって、又今日こんな火事が始まるとは怖ねえこんだ、江戸は火早いと云いやんすが、こんなに大けえ火事がこう続いてあるとは魂消たまげやした
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
森「一昨日おとゝいも喰いません」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)