一昨日おととひ)” の例文
「私の決心は一昨日おととひとは変つて居りません。それよりかも一歩進めて考へました。私は貴方と別れます。今日限り別れます。」
計画 (新字旧仮名) / 平出修(著)
いよいよ離縁するとでも言はれて来たのかと落ついて問ふに、良人おつと一昨日おととひより家へとては帰られませぬ、五日六日と家を明けるは平常つねの事
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
くるま踏切ふみきりを、かはづこゑうへした。一昨日おととひとほしたあめのなごりも、うすかはまいつたやうにみちかはいた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おときの所では一昨日おととひ上簇が済んで、今っとうろつき拾ひが片付いたところだと云って直ぐに来て呉れた。
夏蚕時 (新字旧仮名) / 金田千鶴(著)
『越後米を積んで、雲海丸の入港はひつたのは、昨日きのふだつたか一昨日おととひだつたか、野村君?』と竹山が云つた。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
己れはそんな物は貰ひたく無い、お前その好い運といふはつまらぬ処へ行かうといふのでは無いか、一昨日おととひ自家うちの半次さんがさういつてゐたに
わかれ道 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
師走の月は世間一躰いつたい物せわしき中を、こと更に選らみて綾羅きらをかざり、一昨日おととひ出そろひしと聞くそれの芝居、狂言も折から面白き新物しんものの、これを見のがしてはと娘共の騒ぐに、見物は十五日
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)