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やうぐわか
それに、
洋画家の
梶原さんが、
雨を
凌ぎ、
波を
浴びて、
船でも、
巌でも、
名勝の
実写をなすつたのも、
御双方、
御会心の
事と
存じます。
其の
病気のために、
衣絵さんが、
若手、
売出しの
洋画家であつた、
婿君と一
所に、
鎌倉へ
出養生をして
居たのは……あとで
思へば、それも
寂しい……
行く
春の
頃から
知つて
居た。
秋の
野分しば/\して、
睡られぬ
長き
夜の、
且つ
朝寒く——インキの
香の、じつと
身に
沁む
新聞に——
名門のお
嬢さん、
洋画家の
夫人なれば——
衣絵さんの(もう
其の
時は
帰京して
居た)
重態が