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もちをり
平右衞門聞て
夫は
相應の
相談なり當人といふは
我等が
同町の
地主彌太郎方に勤居らるゝ又七と申者なり
隨分辛抱人にて
主人彌太郎事は
最早六十にもなれど一人も子なく金ばかり澤山ありて
地面は十三ヶ所も
持居此人
親分となる
積りなれば何事も
氣遣ひなし
先方へ
能々話せし上明日
御返事致すべしとて長兵衞を
歸しけり
夫より長兵衞は
大傳馬町家主平右衞門方へ
行先達て
御話の
聟殿白子屋庄三郎方にて
貰ひ
度由故御世話下さるべし白子屋事は
材木町にて千三百
兩の
地面も
持居御屋敷方の出入
澤山有て
株敷は三千兩
程なり然れば五百
兩位は
持參ありても
宜しかるべし
殊更娘お熊は當年廿二歳にて
容貌もよく
承はれば
聟殿は