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ふぢいろ
はつと
下に
置くと、はづみで
白い
花片は、ぱらりと、
藤色の
地の
友染にこぼれたが、こぼれた
上へ、
園は
尚ほ
密と
手を
当てゝ
蓋を
傾けた。
藤色の
薔薇の花、
決着の惡い
藤色の
薔薇の花、波にあたつて枯れ凋んだが、その
酸化した
肌をばなるたけ高く賣らうとしてゐる、
僞善の花よ、
無言の花よ。
亭主が
答へて、
如何にも、
此の
辺で
噂するには、
春の
曙のやうに、
蒼々と
霞んだ、
滑かな
盤石で、
藤色がゝつた
紫の
筋が、
寸分違はず、
双六の
目に
成つて
居る。