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はひまは
と
喚くと、
縁を
這𢌞り/\、
時々倒に、
一寸指の
先を
入れては、ぶる/\と
手を
震はして
居た
奴が、パチヤリと
入つて
其
路傍の夏草の中に、汚い
服裝をした一人の女乞食が
俯臥に寢てゐて、傍には、生れて滿一年と
經たぬ赤兒が、
嗄れた聲を絞つて泣きながら、草の中を
這𢌞つてゐた。
と
言つたが、うつかり
手も
入れられない。で、ちよこんと
湯船の
縁へ
上つて、
蝸牛のやうに
這𢌞る。が、
飛鳥川の
淵は
瀬と
成つても、
此の
湯はなか/\ぬるくは
成らぬ。
お春の頬に
取着くにぞ、あと叫びて
立竦める、
咽喉を伝ひ胸に入り、腹より
背に
這廻れば、声をも
得立てず身を
悶え
虚空を
掴みて
苦みしが、はたと
僵れて前後を失ひけり。
穴に
入る
仕度か蛇の
這廻り