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どうだう
仰付られけるにぞ徳太郎君をも
江戸見物の爲に
同道なし麹町なる
上屋敷に
住着たり徳太郎君は役儀もなければ
平生閑に任せ
草履取一人を
吐家主廣次郎
同道にて我が家にこそは
歸りけれ
扨夫より原田は虎松に向ひ其方明日杉戸へ
案内を致せ
因て今日は
家主巳之助
其方へ虎松を
させ
同道して江戸表へ出んと其身も
支度に及びける母は
豫て
覺悟とは言ながら
頻りに泪にかき
昏て娘の文を近く
招き
今更云迄もなけれど
惡き病を請ぬ樣に心を