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つまをりがさ
掛乘物の上下には
朱の
爪折傘二本を
指掛簑箱一ツ虎皮の鞍覆たる引馬一疋
豹の皮の鞍覆たる馬一疋
黒天鵞絨に白く葵の紋を
切付し
袋の
打物栗色網代の輿物には陸尺十二人近習の侍ひ左右に五人づつ
跡箱二ツ是も同く黒
塗金紋付
紫きの
化粧紐を掛たり
續いて
簑箱一ツ朱の
爪折傘は
天鵞絨の袋に入紫の化粧紐を
……
中に、
紅絹の
切に、
白い
顏の
目ばかり
出して
褄折笠の
姿がある。
紅茸らしい。あの
露を
帶びた
色は、
幽に
光をさへ
放つて、たとへば、
妖女の
艷がある。
庭に
植ゑたいくらゐに
思ふ。