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ちやうめん
男と女と二人で書いてるが、うまい字だな。男のは
帳面馴れがして居るし、女の方は大師流を
其時分は人間が
大様だから、
金を
預ける
通帳をこしらへて、
一々附けては置いたが、その
帳面は
多助の
方へ
預けた
儘国へ
帰つたのを、
番頭がちよろまかしてしまつたから、
何も
証拠はない。
わざと
遠慮して
勝手口へ
回ると、
摺硝子へ
明るい
灯が
映つて、
中はざわ/\してゐた。
上り
框に
帳面を
持つて
腰を
掛けた
掛取らしい
小僧が、
立つて
宗助に
挨拶をした。
茶の
間には
主人も
細君もゐた。