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ちうてん
いま
其の
影にやゝ
薄れて、
凄くも
優しい、
威あつて、
美しい、
薄桃色に
成ると
同時に、
中天に
聳えた
番町小學校の
鐵柱の、
火柱の
如く
見えたのさへ、ふと
紫にかはつたので、
消すに
水のない
劫火は
大波に
漂ふ
小舟は、
宙天に
搖上らるゝ
時は、
唯波ばかり、
白き
黒き
雲の
一片をも
見ず、
奈落に
揉落さるゝ
時は、
海底の
巖の
根なる
藻の、
紅き
碧きをさへ
見ると
言ひます。