“しんえん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
深淵77.8%
深苑5.6%
深怨4.2%
深遠2.8%
神苑2.8%
信淵1.4%
心炎1.4%
心焔1.4%
心猿1.4%
心苑1.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それは進行を止めて雲につかまりながら、両のこぶし深淵しんえんの上方にしがみつき、そしてまた全速力で空間中に突進する。颷風ひょうふうは怒号する。
その日、越前守は、例の江戸城内の人気ない吹上の深苑しんえんで、折入って、将軍家に拝謁を得たい——という旨を、前日から、願い出ていたのである。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家とたからとを失い、自分自身をさえ失った男が、まず何をいても、こんな目に逢わせた、敵に思い知らせてやろうという、思い断つことの出来ない深怨しんえんの恐ろしさを見て
んだか深遠しんえん人生じんせい意味ゐみふくまれてゐるやうな氣がしてならなかツた。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
中の島の掛茶屋あたりで持って来た弁当の折を開き、午後には市中に戻って来て、平安神宮の神苑しんえんの花を見る。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
飯の種に新しいことを饒舌しゃべり廻るだけで、たとえば大塩平八郎みたように、イザといえば、身を投げ出してかかる代物しろものではなく、佐藤信淵しんえんのように、経済論から割り出そうという代物でもない。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
巧雲は唇の端をチッと鳴らしながらを排して隣室へ行ってしまった。楊雄は大ノ字なりにふんぞり返っている。しかし眠れない。眠らんとすればするほど心炎しんえんはカッカと冴えてくるばかり。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この性の心焔しんえんが体じゅうを焼いて、寝がえりばかり打って明かす夜には、お通のおもかげさえみにくい欲情の対象に、想い出してみるほどだった。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
地丸ほどの豪の者も、恋には心猿しんえんを止どめ難く、今宵こよいこそ慾望をとげようと、心を定めているのであった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
なお奮闘ふんとうの勇を食い得るのは、強烈な嗜好が、他より何物にも犯されない心苑しんえんひらいて、いささかながら自己の天地がそこにあるからであるとみておいてもらいたい。
去年 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)