深苑しんえん)” の例文
孔明とともに、深苑しんえんの一堂に入られたまま、時経っても、帝のおもどりがないので、門外に佇立ちょりつして、待ちくたびれていた侍従以下の供人たちは
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その日、越前守は、例の江戸城内の人気ない吹上の深苑しんえんで、折入って、将軍家に拝謁を得たい——という旨を、前日から、願い出ていたのである。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
不幸か、幸か、かの女たちにくらべて、この問題を、切実に考え得られなかったのは、後宮女性の一部や、貴族の深苑しんえんに囲われている黒髪長き花ばなであった。
江戸城本丸の深苑しんえん吹上ふきあげの奥のお茶屋で、将軍吉宗は、紀州部屋住み時代からの側臣で、今も、お庭番の役名のもとに、股肱の者として召使い、時々、この場所だけで、またいつも必ず
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二夫人が、玄徳を慕って、すでに敵の擒人とりことなっている境遇も思わず、今にでもすぐ会えるように思っているのは男と男との戦いの世界などにはうとい深苑しんえんの女性として、無理もないことであった。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)