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ごこうじやう
煩ひ心の
限り藥用はすれども更に
其驗なく次第々々に病氣の
重るのみなれば或日嘉傳次は感應院を
病床に
招き重き
枕を
上て
偖申けるは
抑々私しが當國に
杖を止めしより尊院の
御厚情に
預りし其恩を
さて
何うも一
方ならぬ
御厚情に
預り、
少からぬ
御苦労を
掛けました。
改め新藤氏には
能こそ
御尋ね下されたり誠に一別以來
先以て
御健勝の樣子大悦に存ずると
述ければ市之丞の長八も久々の對面
故に夫々へ挨拶に及び扨大橋氏思ひ出せば早十八年の
其昔彼
貴殿の
御厚情に依て我々夫婦が一命を
差出がましうござんすが、お
座興にもと
存じて、お
客樣の
前ながら、
申上げます、とお
孃樣、
御口上。——
内に、
日本と
云ふ、
草毟の
若い
人が
居りませう……ふと
思ひ
着きました。