“こころひそか”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
心窃50.0%
心陰12.5%
心私12.5%
心秘12.5%
心竊12.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
問われるままに案外無造作に白状してしまうかも知れない。それと共に自分の遊び足りない事と嫉妬を起した事などを心窃こころひそかに冷笑しないとも限らない。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
に顔の色はみづからすごしと見るまでに変れるを、庭の内をば幾周いくめぐりして我はこの色を隠さんとらんと、彼は心陰こころひそかおのれあざけるなりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
為すべきは必ず為して、おのれてらはず、ひとおとしめず、恭謹にしてしかも気節に乏からざるなど、世に難有ありがたき若者なり、と鰐淵はむし心陰こころひそかに彼をおそれたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
拍子抜してもどれる貫一は、心私こころひそかにその臆測のいりほがなりしを媿ぢざるにもあらざれど、又これが為に、ただちに彼の濡衣ぬれぎぬ剥去はぎさるまでに釈然たる能はずして、好し
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それと打付うちつけてうのも、院長いんちょうはじかせるようなものと、なんともわずにはいたが、同僚どうりょう院長いんちょうアンドレイ、エヒミチを心秘こころひそかに、老込おいこみ怠惰者なまけものとして、やつかねばかり溜込ためこんでいるとうらやんでいた。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
猪のあぶら松脂まつやにとを煮溜めた薬煉くすね弓弦ゆづるを強めるために新らしく武器庫ぶきぐらの前で製せられた。兵士つわものたちは、この常とは変って悠々閑々ゆうゆうかんかんとした戦いの準備を心竊こころひそかわらっていた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)