心窃こころひそか)” の例文
旧字:心竊
しかしだんだん彼らとつきあってみると、実に村夫子そんぷうしの中に高い人格をそなえた人が、いたる所にいるのを見て、心窃こころひそかに喜んでいる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
問われるままに案外無造作に白状してしまうかも知れない。それと共に自分の遊び足りない事と嫉妬を起した事などを心窃こころひそかに冷笑しないとも限らない。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
予期の大観に接することを得ないように思われて、心窃こころひそかに物足りなく感じた。
尾瀬雑談 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
かれまち沢山たくさん病家びょうか顧主とくいっている。で、かれ自分じぶん心窃こころひそか院長いんちょうよりはるか実際じっさいにおいて、経験けいけんんでいるものとみとめていた。なんとなれば院長いんちょうにはまち顧主とくい病家びょうかなどはすこしもいのであるから。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)