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くわんぶ
勘次は
怪我人の
後に
隱れるやうにして
自分の
番になるのを
待ちながら
周邊が
何となく
藥臭くて
恐ろしいやうな
感じに
囚はれた。
醫者は
一人の
患部を
軟かに
柔んでやつて
居たが
勘次をちらと
見た。
水疱はいつか
破れて
糜爛した
患部を、
油は
見るから
厭はしく
且つ
穢くして
居た。
死んだ
細胞の
下から
鮮かに
赤く
見え
始めた
肉芽は
外部の
刺戟に
對して
少しの
抵抗力も
持つて
居ない
細胞の
集りである。
眞鍮の
箆で
其藥を
紙へ
塗抹つて
患部へ
貼つてやつた。