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おんれい
家康は将軍職を
退き、この春の三月には二代将軍を継承した
秀忠が、
御礼のため上洛するのであろうと、
洛内は景気立っている。
早速
御礼かたがた
御挨拶可申上之処、病気にかかり
頃日来机に離れて
横臥致しをり候ひしため
延引致候。
並べ外に金五兩は御利子と申には是なく
御禮の心ばかり
御菓子料にさし
上度と出しければ文右衞門は是を見て忽まち氣色を
變是は/\新藤氏思ひもよらぬことを
ば
伯父々々と
呼べしと言ければ兩人は
有難涙に
暮厚く
御禮申上召連し見知人甚左衞門善助は名主部屋へ入置
休息致させける是に依て越前守には池田
大助に命じ
全快屆の書面を
出して
渡しければ
庄三郎
押戴きて
段々と
御深切の上
又斯る
災難まで
貴公の
御苦勞に
預り
御禮は申
盡し
難しとて涙を
流し
打歡びてぞ
歸りけり又お
常忠八はまんまと
夷子棚の二百兩を