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うまさう
まあだなんちつても
莢が
本當に
膨れねえんだから、ほんの
豆の
形したつち
位なもんだべな、そりやさうと
此の
豆はえゝ
豆だな、
甘相でなあ
おつぎは
熱いふかしを
蒸籠から
杓子で
臼へ
扱き
落しながら
側に
立つて
居る
與吉へ
少し
遣つた。
程よく
蒸した
其ふかしを
與吉は
甘相にたべた。おつぎも
指に
附いたのを
前齒で
噛むやうにして
口へ
入れた。
與吉は
能く
貧乏な
伴侶の
子が
佳味相に
青物を
噛つて
居るのを
見ておつぎに
強請むことがあつた。
勘次の
家ではどうかすると
朝に
成つて
大きな
南瓜が
土間に
轉がつて
居ることがある。