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いろこひ
此の
年紀をして
怪しからず、
色気がある、……あるは
可いが、
汝が
身で
持余ました
色恋を、ぬつぺりと
鯰抜けして、
人にかづけやうとするではないか。
然ればな……いや
口の
減らぬ
老爺、
身勝手を
言ふが、
一理ある。——
処でな、あの
晩四つ
手網の
番をしたが
悪縁ぢや、
御身が
言ふ
通り
色恋の
捌を
頼まれた
事と
思へ。
……けんども、やきもきと
精出いて
人の
色恋で
気を
揉むのが、
主たち
道徳の
役だんべい、
押死んだ
魂さ
導くも
勤なら、
持余した
色恋の
捌を
着けるも
法ではねえだか、の、
御坊。