“蝸牛”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かたつむり65.0%
ででむし12.2%
まいまいつぶろ3.3%
かぎゅう3.3%
くわぎう1.6%
でんでんむし1.6%
エスカルゴ1.6%
でゝ0.8%
くわぎゆう0.8%
でんでん0.8%
でゝむし0.8%
なめくじ0.8%
なめくずら0.8%
なめくづら0.8%
まいまい0.8%
まい/\つぶり0.8%
まい/\つぶろ0.8%
まひ/\つぶり0.8%
まひ/\つぶろ0.8%
エスカルゴオ0.8%
レ・スカルゴ0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
まるで、大自然の威力の前に、脆弱ぜいじゃくな人間の文明がおどおどして、蝸牛かたつむりのように頭をかたく殻の中へかくして萎縮しているようである。
犠牲者 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
栗鼠りすは野山に日を暮らし、巡礼しばしもとどまらず。殻を負ひたる蝸牛ででむしはいつまで殻を負うてゆくらむ。
第二真珠抄 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
塩鮭しゃけは骨だけ別に焼いてかじった。干物は頭からみんなかじってしまうし、いなごや蝸牛まいまいつぶろを食べるのを教えたのもこの人だ。それが怒鳴った。
私は性来しょうらい騒々そうぞうしい所がきらいですから、わざと便利な市内を避けて、人迹稀じんせきまれな寒村の百姓家にしばらく蝸牛かぎゅういおりを結んでいたのです……
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
或は蝸牛くわぎうの歩みよりも更に遅いものかも知れない。が、如何に遅いにもせよ、アナトオル・フランスの云つたやうに、「おもむろに賢人の夢みた跡を実現する」
僻見 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「まあ、貴下あなたの言うことは、蝸牛でんでんむしの狂言のようだよ。」と寂しく笑ったが
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
蝸牛エスカルゴは町の中でも売って居る。殻の口に青味の混ったパテを詰められ、生海丹なまうにや海老の隣に並んでいる。それは巴里を粋にも野蛮にも見せる。
食魔に贈る (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
『もつと素早すばや何故なぜゆけぬ?』と蝸牛でゝむかつて胡粉ごふんつた
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
私は、いちごとり、蝸牛でんでんとり(蝸牛でんでんは焼いてうと甘味うまいものである)
戦争雑記 (新字新仮名) / 徳永直(著)
取り立ての蝸牛でゝむしをその儘鵜飲みにしたりした男だ。
商人の眼玉は、蝸牛なめくじの眼玉のように飛び出した。彼はまったく、この見知らぬ男に今にも飛びかかりそうに見えた。が、遂に怒りながら吃り出した。
「きっともて、こいづあ大きな蝸牛なめくずらからびだのだな。」
鹿踊りのはじまり (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「きつともて、こいづあ大きな蝸牛なめくづらからびだのだな。」
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
ふためた蝸牛まいまいのように、いくら手を引っ張ったって、出て来やしない。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つたが、うつかりれられない。で、ちよこんと湯船ゆぶねへりあがつて、蝸牛まい/\つぶりのやうに這𢌞はひまはる。が、飛鳥川あすかがはふちつても、はなか/\ぬるくはらぬ。
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そこに、白鳥はくてう抜羽ぬけはひら白帆しらほふねありとせよ。蝸牛まい/\つぶろつのして、あやつるものありとせよ、青螽あをいなごながるゝごと発動汽艇はつどうきていおよぐとせよ。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とづけ/\嫌味いやみを浴びせかけるので、気の弱い夫人達は、蝸牛まひ/\つぶりのやうにたての丸髷を襟のなかに引つ込めてしまひたくなる。
しか婦人をんなまへ蝸牛まひ/\つぶろしろわたしたやうで、くちくさへ、して手足てあしのあがきも出来でき背中せなかまるくして、ひざはせて、ちゞかまると、婦人をんながした法衣ころもかたはらえだへふわりとかけた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ロオヤル・ホテルの夜食には名物の蝸牛エスカルゴオが出た。葡萄酒のうまいことは云ふまでもない。おれは寝る前に湯にはいつた。日本の旅の習慣を話して女にも湯に入らせた。
素描 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
巴里名料理店の一つ「蝸牛レ・スカルゴ」の軒にはつくりものの大蝸牛がほこりにまみれて二疋、左右へ角を振り分けている。入って行く床には程よく湿ったオガ屑が撒いてあって柔かく靴底にきしむ。
食魔に贈る (新字新仮名) / 岡本かの子(著)