“蟋蟀”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
こおろぎ55.4%
こほろぎ21.0%
きりぎりす15.9%
きり/″\す2.5%
いとど1.9%
しっしゅつ0.6%
コホロギ0.6%
きりざりす0.6%
こうろぎ0.6%
イトド0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
唯その方向を埒外(らちがい)に逸しないことにある。この頃、夜毎に蟋蟀(こおろぎ)が啼いているが、耳を澄ませばその一つ一つに、いい知れぬ特色がある。
日本的童話の提唱 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ふと目が覺めると、消すを忘れて眠つた枕邊(まくらもと)の手ランプの影に、何處から入つて來たか、蟋蟀(こほろぎ)が二匹、可憐な羽を顫はして啼いてゐる。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
老人はしきりに虫の講釈をはじめて、今日(こんにち)では殆ど子供の玩具(おもちゃ)にしかならないような一匹三銭ぐらいの蟋蟀(きりぎりす)を大いに讃美していた。
半七捕物帳:07 奥女中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
之(これ)が引摺(ひきず)つて、足(あし)を見(み)ながら情(なさけ)なさうな顔(かほ)をする、蟋蟀(きり/″\す)が𢪸(も)がれた脚(あし)を口(くち)に啣(くは)へて泣(な)くのを見(み)るやう、目(め)もあてられたものではない。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
蟋蟀(いとど)の声もおさない秋のはじめに、毎夜のように屋形の裏庭で忍び逢う退引ならぬ関係になっていたのである。
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
平地木やら原配の蟋蟀(しっしゅつ)やらをうろうろ捜し廻っている自分の悲惨な姿であった。
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
百部は、夙(ハヤ)くに写し果した。その後は、千部手写の発願をした。冬は春になり、夏山と繁つた春日山も、既に黄葉(モミヂ)して、其がもう散りはじめた。蟋蟀(コホロギ)は、昼も苑一面に鳴くやうになつた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
茄子(なす)を食ってる蟋蟀(きりざりす)野郎の癖に、百文なみに扱いやあがって、お姫様を煽げ、べらぼうめ。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
路ばたの草叢では蟋蟀(こうろぎ)が鳴き始めていた。家の前の柿の古樹の垂れさがった枝には、渋柿が、青いまゝに、大変大きくなっていた。その下の闇を通ると、実がコツ/\と頭を打った。
武装せる市街 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
蜑が家は 小蝦にまじる蟋蟀(イトド)かな
日本美 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)