寫眞しやしん)” の例文
新字:写真
ところで、どういふわけで、そんな子ともの私が寫眞しやしんなどはじめるやうになつたかといへば、そのころわたしは、三宅克巳氏ちよの「せう寫眞術しやしんじゆつ
ときに——いまわたつたはしである——わたし土産みやげがきをもらつて、寫眞しやしんて、十綱橋とつなばしとあるのを、喜多八きたはち以來いらい早合點はやがてんで、十網橋とあみばしだとおもつた。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
君子きみこ不審いぶかしさに母親はゝおや容子ようすをとゞめたとき彼女かのぢよ亡夫ばうふ寫眞しやしんまへくびれて、しづかに、顏色かほいろ青褪あをざめて、じろぎもせずをつぶつてゐた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
この現象げんしよう少年讀者しようねんどくしやむかつて説明せつめいすることはすこぶ難事なんじであるが、たゞ噴火ふんかさいはつせられた數回すうかい連續的爆發れんぞくてきばくはつ寫眞しやしんれたものと承知しようちしてもらひたい。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
繪葉書えはがきよりおほきな寫眞しやしん必要ひつようひとには、その希望きぼうにまかせてそれ/″\の寫眞しやしんるようにもなつてゐるのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
くにいづるまではまで不運ふうんゑんともおもはざりしが、今日けふこのごろおくりこしたる寫眞しやしんをさへるにものうく
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一二さつつてると、いづれも婦人用ふじんようのものであつた。宗助そうすけその口繪くちゑてゐるをんな寫眞しやしんを、何枚なんまいかへしてながめた。それから「成効せいかう」と雜誌ざつしげた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これは偶然ぐうぜんせう寫眞術しやしんじゆつ」の沿革史えんかくしの一せつにも書いてあることだつたが、うちで寫眞しやしんうつすといふと、いつもその上寫眞館しやしんくわんへ出かけたもので
彼女かのぢよはレースいと編物あみものなかいろめたをつと寫眞しやしんながめた。あたかもそのくちびるが、感謝かんしやいたはりの言葉ことばによつてひらかれるのをまもるやうに、彼女かのぢよこゝろをごつてゐた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
この珍現象ちんげんしよう目撃もくげきすることさへ容易よういとらがた機會きかいであるのに、しかもこれを寫眞しやしんにとつて一般いつぱんひとにもその概觀がいかんつたへたペアレット功績こうせきとすべきでゐる。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
かようなおほきな巨石記念物きよせききねんぶつは、博物館はくぶつかん運搬うんぱんしてることはとうてい出來できませんから、そこにある模型もけい寫眞しやしんによつて、みなさんはその大體だいたいほかはありませんが
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
桂次けいじがもとへおくりこしたる寫眞しやしんはあれども、しがくしに取納とりおさめてひとにはせぬか、れともひとしらぬ火鉢ひばちはいになりおはりしか、桂次けいじならぬものるによしなけれど
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
當時たうじ寫眞しやしんた——みやこは、たゞどろかはらをかとなつて、なきがらのごとやまあるのみ。谿川たにがはながれは、おほむかでのたゞれたやうに……寫眞しやしんあかにごる……砂煙すなけむり曠野くわうやつてた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
寫眞しやしんにせよかほつてるのは小六ころくばかりであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ようするに、寫眞しやしんの本れうは、興味けうみはさういふ意味いみ記録きろくを、いひかへれば、過去くわこ再現さいげんして、おもひ出のたのしさや回想くわいそうの懷かしさをあたへるところにある。
さりながらお寫眞しやしんあらば一まい形見かたみいたゞきたし此次このつぎ出京しゆつけうするころにははや立派りつぱ奧樣おくさまかもれず、それでもまたつてたまはるかとかほをのぞけば、ひざして正体せうたいもなし
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
考古學こうこがくのおはなしをするめには、どうしても實物じつぶつをおせするか、せめて寫眞しやしんをおにかけなくてはよくわかりかねます。それで、このほんにもわりあひにたくさんれてきました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
ポムペイのほろびた原因げんいん降灰こうはひにあることは、空中くうちゆうから寫眞しやしんでもわかるとほり、各家屋かくかおく屋根やね全部ぜんぶけてゐて、四壁しへき完備かんびしてゐることによつてもわかるが、西暦せいれき千九百六年せんくひやくろくねん大噴火だいふんかのとき
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
何處どこやらのひと子供こどもときうつした寫眞しやしんだといふあどけないのをもらつて、それをけくれにしてて、めんむかつてははれぬことならべてたり、つくゑ引出ひきだしへ叮嚀ていねい仕舞しまつてたり
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ぐわんわたしせう年時代から寫眞しやしんをやる、こん採集さいしうをやる、草花をつく將棋せうぎをさすといふ風で、せう趣味しゆみ多過おほすぎる方なのだが、そして、一時それぞれにかつとねつ中する方なのだが、球突たまつき御多ごた分にれず
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
ちやして大奧おほおくにもたかく、お約束やくそく聟君むこぎみ洋行中やうかうちうにて、寐覺ねざめ寫眞しやしんものがたる總領そうりやう令孃ひめさへ、垣根かきねさくられかし吾助ごすけ、いさヽかの用事ようじにて大層たいそうらしく、御褒美ごはうびたまはる菓子くわし花紅葉はなもみぢ
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
とりかへには寫眞しやしんをくれとねだる、此次このつぎ土曜日どようびくだされば御一處ごいつしよにうつしませうとてかへりかゝるきやくのみはめもせず、うしろにまはりて羽織はをりをきせながら、今日けふ失禮しつれいいたしました
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ねへ美登利みどりさん今度こんどしよ寫眞しやしんらないか、れはまつりのとき姿なりで、おまへ透綾すきやのあらじま意氣いきなりをして、水道尻すいだうじり加藤かとうでうつさう、龍華寺りうげじやつ浦山うらやましがるやうに、本當ほんたうだぜ彼奴あいつ屹度きつとおこるよ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)