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喜多八
読み方 | 割合 |
きたはち | 70.0% |
きだはち | 30.0% |
諸君聞かずや、むかし
彌次郎と
喜多八が、さもしい
旅に、
今くひし
蕎麥は
富士ほど
山盛にすこし
心も
浮島がはら。
其の
山もりに
大根おろし。
時に——
今渡つた
橋である——
私は
土産に
繪葉がきを
貰つて、
此の
寫眞を
視て、
十綱橋とあるのを、
喜多八以來の
早合點で、
十網橋だと
思つた。
と精々
喜多八の気分を
漾わせて、
突出し店の
硝子戸の中に飾った、五つばかり装ってある朱の盆へ、
突如立って手を掛けると、娘が、まあ、と言った。
(どうだ、
喜多八。)と行きたいが、
其許は年上で、ちとそりが合わぬ。