はたらき)” の例文
「働らくのもいが、働らくなら、生活以上のはたらきでなくっちゃ名誉にならない。あらゆる神聖な労力は、みんな麺麭パンを離れている」
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
思ひ付お兼にむかひ扨々其方の智慧ちゑの程感心かんしんせり其はたらきにては女房にしても末頼母敷もしく思ふなり夫について爰に一ツの相談あり夫婦の中に隱しへだて
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
右「それでもあれ裏家住うらやずまいに馴れて、誠に当節はよく馴れて居ります、はたらきのないわたくしでございますから不自由勝で、へい、妙なお酒ですなア」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
その時には無賃ただで置かれた家なしの女房は、うしろドアを開けて出て来て、ストーブにたきぎくべて行く。家なしの夫は昼間ははたらきに出て夜帰って来る。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
すなわち人生のはたらきの一ヵ条たる喫煙も、その力よく発達すれば、わずかに数日の間に苦楽のおもむきことにするの事実を見るべし。
教育の目的 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
勿論いささかの油断を許さない、刻一刻と移動して止まない体重の中心を、微妙に調節するあらゆる筋肉のはたらきと、集注的な強い意識とを必要とする。
黒部川を遡る (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
今といふ今汝の思ひは同じはたらき同じかたちをもてわが思ひの中に入り、我はこの二の物によりてたゞ一のはかりごとを得たり 二八—三〇
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
どう云ふ事情か、君が話してくれんから知れんけれど、君の躯は十分自重して、社会に立つてさかんなるはたらきして欲いのだ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「もっとも、直ぐにも、挨拶もしたいんだけれど、遅い、ね、何しろ遅いからどこと云って……私ははたらきが無いのでね。」
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まへさんはさかんところて、元氣げんきよくはたらいたのはよろしい、これからは、其美そのうつくしいところて、うつくしいはたらきをもるがからう。うつくしいことを。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
誰かあなたの故先生に対する愛の助勢によって、人類に貢献されたはたらきを知らない者がありましょう乎。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
明治の言語体文章に就ての美妙齋君の功績は十二分に之を認めなければならぬのでありますが、二葉亭主人の「浮雲」が与えた左様いう感じも必ずしも小さいはたらきではないと思います。
言語体の文章と浮雲 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
一、上野介殿御屋敷へ押込おしこみはたらきの儀、功の浅深せんしんこれあるべからず候。上野介殿しるしあげ候者も、警固けいご一通ひととおりの者も同前たるべく候。しかれ組合くみあわせ働役はたらきやくこのみ申すまじく候。もっとも先後のあらそい致すべからず候。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
この果物がどんな不思議なはたらきを致しますかという事は、直きに貴方にもお目にかける事が出来ましょう。そうしたら貴方もこのばばあの申し上げる事が、嘘でないとおぼすで御座いましょう
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
打留七人、手疵おはせる者四人、召捕二人、右は局中のはたらきに候。
また大監督神学博士の声名決してかろんずべからざるを知る、しかれども余の無学なるが故に余は余の身も信仰もはたらきもこれら高名の人の手にまかすとならば余はいまだ自己を支配するあたわざるものなり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
しかるに勝氏は一身のはたらきを以ていて幕府を解散かいさんし、薩長のに天下を引渡ひきわたしたるはいかなるかんがえより出でたるか、今日に至りこれを弁護べんごするものは、勝氏は当時外国干渉がいこくかんしょうすなわち国家の危機ききに際して
神變しんぺん不思議ふしぎなる自動鐵車じどうてつしや構造こうぞうは、今更いまさら管々くだ/″\しく述立のべたてる必要ひつえうもあるまい、森林しんりんときは、旋廻圓鋸機せんくわいえんきよきと、自動鉞じどうまさかりとの作用さようで、みち切開きりひらき、やまのぼるには、六個ろくこ齒輪車しりんしや揚上機やうじやうき遞進機ていしんきはたらき
あべこべ砲は、これからどんなはたらきをするのでありましょうか。
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しばらまゝにして置くと、醗酵して人を酔はすはたらきを生ずる。
毒と迷信 (新字旧仮名) / 小酒井不木(著)
智慧とはたらきとで強くなっている、多方面な善意が
はたらくのもいが、はたらくなら、生活以上のはたらきでなくつちや名誉にならない。あらゆる神聖な労力は、みんな麺麭パンを離れてゐる」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かめ「大層亭主振った利いた風な事を言うな、何のはたらきが有ってそんな亭主振ったことをいう、本当に生意気だよ、高慢な事をいうな、親不孝め」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
蒸気、電気のはたらき開闢かいびゃくはじめより明に示す所なれども、人間の暗愚なる、久しく之を知らずして、ようやく近年に至り始めてその端緒を探り得たるのみ。
人生の楽事 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
小親がかろき身のはたらき、躍ればつちつまを着けず、舞の袖の飜るは、そらに羽衣かかると見ゆ。長刀なぎなたかつぎてゆらりと出づれば、手につ敵の有りとも見えず。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
傳吉殿の妻に御つかはしあらば實に幸ひならん此度の事はお專殿せんどのはたらきにて不思議に金子手にもどことに發明なる性なれば何と與惣次殿我々かく申もいはば傳吉殿にうし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
畔柳はこの手よりとりいるる利のなかばは、これを御殿ごてんの金庫に致し、半はこれをふところにして、鰐淵もこれにりて利し、きんいつにしてその利を三にせる家令が六臂ろつぴはたらき
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
そこで權官けんくわん首尾しゆびよく天下てんか名石めいせきうばてこれを案頭あんとうおい日々ひゞながめて居たけれども、うはさきし靈妙れいめうはたらきは少しも見せず、雲のわくなどいふ不思議ふしぎしめさないので、何時いつしか石のことは打忘うちわす
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
労働は好いが、何故なぜ牛馬のはたらきまでせねばならぬ乎。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
皆さんはお指図どおりはたらきなさるでしょう。
そもそも人生の智識、未だ発せざるに当りては、心身のはたらき、ただ形体の一方に偏するを常とす。いわゆる手もて口に接する小児の如き、これなり。
教育の目的 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
宗助そうすけ自分じぶん境遇きやうぐうやら性質せいしつが、夫程それほど盲目的まうもくてき猛烈まうれつはたらきあへてするにてきしないことふかかなしんだ。いはんや自分じぶんこのやまらすべきすでかぎられてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
承知しようちだよ、承知しようちだよ。お鳥目てうもくがねえとか、小遣こづかひたねえとかふんだらう。はたらきのねえやつきまつてら、とつてはまないのさ。其處そこはおあきさんだ。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おもて入口いりくちには焦茶地こげちやぢ白抜しろぬきで「せじや」と仮名かなあらは山形やまがたに口といふ字がしるしついところ主人あるじはたらきで、世辞せじあきなふのだから主人あるじ莞爾にこやかな顔、番頭ばんとうあいくるしく
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
に身請する人ありといつはりて五十兩の金をかたとり種々しゆ/″\惡計あくけいはたらきし其根元こんげんたづぬるに國は三しう藤川ふぢかは近在きんざい岩井村いはゐむらの百姓にさく十と云者あり夫婦のなかに子供兩人有てあにを作藏舍弟おとゝ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
官能のはたらき、体の汁のめぐりまる
倫理教科書の目的は、人の徳心を養成せんとするにあるか、ただしは人をして人心のはたらきを知らしめんとするにあるか。
読倫理教科書 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
敵の身のはたらきに心を置けば、敵の身の働に心を取らるるなり。敵の太刀たちに心を置けば、敵の太刀に心を取らるるなり。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかるをいわんや臨兵闘者皆陣列在前りんびょうとうしゃかいじんれつざいぜんといい、令百由旬内無諸哀艱りょうひゃくゆじゅんないむしょあいげんと唱えて、四縦五行の九字を切るにおいては、いかばかり不思議のはたらきをするかも計られまい
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その他千種万様限りなき人事の運動は、浮世の人々がおの/\その心を楽しましめんとするのはたらきにして、あるいは之をその人の楽しみともえば又はその志とも云う。
人生の楽事 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
後より八蔵入来り、こうこういう次第にて、八橋楼の亭主をとらえ、一室ひとまに押込め置きたるが、というに得三うなずきて、そのはたらきめそやし、後にて計らうべき事あり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
宗助は自分の境遇やら性質が、それほど盲目的に猛烈なはたらきをあえてするに適しない事を深く悲しんだ。いわんや自分のこの山で暮らすべき日はすでに限られていた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もとより下士のはい悉皆しっかい商工に従事するには非ざれども、その一部分に行わるれば仲間中なかまうちの資本は間接にはたらきをなして、些細ささいの余財もいたずらに嚢底のうていに隠るることなく
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
よけて通らなければ出られないので、学士はその卓子越の間道を選んだので、余り臨機さそくはたらきであったから、その心を解せず、三人は驚いて四方を囲んで、ひとしく高く仰ぎ見た。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
だから、何でも構わん、旗を振ろうが、剣をかざそうが、とにかくこの混乱のうちに少しなりとも人の注意をくに足るはたらきをするものを浩さんにしたい。したい段ではない。必ず浩さんにきまっている。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今後こんごするところは士族に固有こゆうする品行のなるものを存してますますこれを養い、物をついやすの古吾こごを変じて物を造るの今吾こんごとなし、あたかも商工のはたらきとって士族の精神に配合し
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
一座の座頭ざがしらとなりて後も、舞台にはげしきはたらきしては、楽屋に倒れて、その弟子と、その妹と、その養うと、取縋り立蔽たちおおいて回生剤きつけを呑ませ呼びけたる、技芸の鍛錬積りたれば
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すこしでもつね以上いじやうくつろいでやうとはたらきなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
自家の空想をたくましうし、例えば動植物生々の理、地球の組織又その天体との関係、化学のはたらきは果していずれの辺にまで達すべきや、宇宙勢力の原則は果してすでに定まりたるやいな
人生の楽事 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ものをおしへますとおぼえますのにさぞほねれてせつなうござんせう、からだくるしませるだけだとぞんじてなんにせないできますから、段々だん/″\うごかすはたらきも、ものをいふこともわすれました。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)