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鹽氣
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しほけ
ふと
中六の
通りの
南外堂と
言ふ
菓子屋の
店の、この
處、
砂糖氣もしめり
氣も
鹽氣もない、からりとして、たゞ
箱道具の
亂れた
天井に、つゝみ
紙の
絲を
手繰つて、くる/\と
𢌞りさうに
アンドレイ、エヒミチはアツと
云つたまゝ、
緑色の
大浪が
頭から
打被さつたやうに
感じて、
寐臺の
上に
引いて
行かれたやうな
心地。
口の
中には
鹽氣を
覺えた、
大方齒からの
出血であらう。