かけ)” の例文
旧字:
あなあはれの柳、あなあはれかかりの小舟、寂しとも寂しとも見れ。折からや苫をはね出て、舟縁ふなべりの霜にそびえて、この朝のあか鶏冠とさかの雄のかけが、早やかうかうと啼きけるかも。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
紅梅に幔幕まんまくひかせ見たまひぬ白尾のかけの九つの雛
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
あなあはれ水の辺の柳、あなあはれかかりの小舟、寂しとも寂しとも見れ。折からや苫をはね出て、舟縁の霜にそびえて、この朝のあか鶏冠とさかの雄のかけが、早やかうかうと啼きけるかも。
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かけのこゑうらめづらしとあらなくに大霜の今朝の野は澄みにける
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
卵ひとつ生まずあはれと見つつゐし生みてありけりかけは草生に
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
白きかけあさりさわめく影のみぞただに照りかへる動きにてあり
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かけは啼け星の冷えにしふるごとき虫の音いろは夜明まさりぬ
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かけまじりあそぶ野鴨の埒なさよ水には入らず紫雲英田げんげだにゐる
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かけの声けぶかき闇にたちにしがよく聴けば市の病院にして
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
小山田の雪解ゆきげの田居にゐるかけのわづかに青む物あさるなり
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
雪ふかき山の尾の上に啼くかけの啼きこたかけの声のしたしさ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
時雨ふる冬の夜寒よさむに啼くかけ赤羽根橋あかばねばしを我がわたるなり
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
雪の日の笹竹がくり啼くかけ鶏冠とさかのみあかき冬は来にけり
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)