にお)” の例文
「もしわたしのようなものはおしどりにしていただけないなら、かもにでもにおにでもしていただいてあなたのおそばにまいりましょう。」
おしどり (新字新仮名) / 新美南吉(著)
日奈久の温泉宿で川上眉山かわかみびざん著「にお浮巣うきす」というのを読んだ事などがスケッチの絵からわかる。浴場の絵には女の裸体がある。
亮の追憶 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
六人の客は銘々の相方に誘われて、におの浮巣をたずねに行ったが、お染の客だけは真っ直ぐに帰った。お染とお雪は暖簾口のれんぐちまで送って出た。
鳥辺山心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
おばしまの下をのぞくと、水は青く、橋杭はしぐいの根をめぐって、白い水鳥が、花をいたように游んでいた。このあたりのなぎさにたくさんいるにおであった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
〕また他の側面には「におなくやから崎の松志賀の花。槐陰かいいん。」となした発句が刻してある。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
池にはまたにおがいる。可愛い鳥である。小粒で臆病気で、人の気配がすると、すぐ水にもぐる。キュルルルルルルとけたたましい鳴声を立てて、水面を滑走する。一羽でいることは殆どない。
犬の生活 (新字新仮名) / 小山清(著)
四方より花吹き入れてにおの海 芭蕉
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
におくび伸びしと見しがもぐりけり
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
そうして、悠々と、波間に馬を游ばせてゆく左馬介の白い陣羽織は、この湖に多く住むにおの一羽が泳いでゆくようであった。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これを過ぐれば左ににおうみ蒼くして漣漪水色縮緬ちりめんを延べたらんごとく、遠山糢糊もことして水の果ても見えず。左に近く大津の町つらなりて、三井寺みいでら木立に見えかくれす。
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「お願いです。わたしだけをのこしておいてくださいますな。わたしも水鳥にしてください。おしどりがいけませぬならばかもでもにおでもかまいません。」「よろしい」と老人は答えた。
おしどり (新字新仮名) / 新美南吉(著)
浮き沈むにおの波紋の絶間たえまなく
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
これは東国の田舎武士にて候、年ごろの望みかのうて、このほど叔父、おい、友ども打語うちかたらい、におうみこえ、花の都へ、見物に入りもうして候。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
におがゐて鳰の海とは昔より
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
「あれがにおうみね。……瀬田はどの辺?」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なアンだ……におか」
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
におといいまする」
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
にお宿やど
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)