ろば)” の例文
不意に陽がかげって頭の上へおおいをせられたような気がするので、なんふくっているろばから落ちないように注意しながら空を見た。
竇氏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
山は喜んで老人についてゆき、いているろばつないでへやの中へ入った。室の中にはつくえも腰掛けもなかった。老人はいった。
阿繊 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
板橋はんきょう三娘女さんろうじょという宿屋をしている老婆があって、それが旅人に怪しい蕎麦そばもちわして、旅人をろばにして金をもうけていたところで
怪譚小説の話 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
食事がちょうど終った時、王の家の者が二ひきろばいて王を探しに来た。それは王が家を出た日のことであった。
嬰寧 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
客は黒いろばに乗って来てそれを門に繋いであった。主人はその客を迎えた。それは年の頃五十あまりの履物も着物も新しい、温厚な男であった。
胡氏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
あんたは気の毒だが、あんたのろば一嚢ひとふくろおぶわせていって、門を叩いて、南村の婆が、二、三石の粟を売って、旅費にするのだから、馬をいて来て持っててくださいといえばいい。
阿繊 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
その人びとの中には輿に乗る者もあれば、きょうに乗る者もあり、また馬やろばに乗る者もあり、舟で往く者もあった。
雷峯塔物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
翩翩はそこで木の葉を切ってろばをこしらえて、三人をそれに乗せて帰らした。
翩翩 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
その人々の中には輿に乗る者もあれば、きょうに乗る者もあり、また馬やろばに乗る者もあり、舟で往く者もあった。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
見るとそれは人間でなくて小さなろばのような馬であった。万はおどろいて
五通 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
馬はそれを大事にくるんで帰ってきたが、途の中ほどまで帰った時、一人の少年に逢った。少年はろばに乗って幕を垂れた車の後から往っていたが、その姿がきりっとしていた。
黄英 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ある日、景がみちを歩いていると、一人の女郎むすめあかい衣服を着て、たくさんの下男をれ、黒いろばに乗って来るのを見た。それを見ると阿霞であった。そこで景は伴をしている下男の一人に訊いた。
阿霞 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)