香椎かしい)” の例文
仲哀天皇ちゅうあいてんのうは、ある年、ご自身で熊襲くまそをお征伐せいばつにおくだりになり、筑前ちくぜん香椎かしいの宮というお宮におとどまりになっていらっしゃいました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
タラシナカツ彦の天皇(仲哀天皇)、穴門あなと豐浦とよらの宮また筑紫つくし香椎かしいの宮においでになつて天下をお治めなさいました。
また、お味方もここを出て進むとすれば、必定ひつじょう、その会戦の地は、香椎かしい筥崎はこざきノ宮との間——多々羅たたらはまからあのあたりの広袤こうぼうでしかございませぬ
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
香椎かしいの山奥で作ったと云う水密桃だの梨だの葡萄だのを市場——筆者の父は青物果実問屋の親爺であった——へ持って来られていたのをよく知っている。
夢の如く出現した彼 (新字新仮名) / 青柳喜兵衛(著)
其処そこへやって来たのは加奈子の母親の弟で、加奈子には叔父おじさんに当る、探偵好きの若い理学士香椎かしい六郎でした。
向日葵の眼 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
住吉すみよし、箱崎、香椎かしい宗像むねかたを伏し拝み、天皇の都へ帰られる日一日も早からんことを祈り、垂水山たるみやま鶉浜うずらはまなどの険路、難所を越えた。何れも慣れぬ足での強行である。
そうして福岡から二里半ばかり東北の香椎かしい村に、二人切りの新世帯を作って、そこから汽車で福岡へ通勤することにしたが、しかし私は、その新妻から尋ねられた時にも
空を飛ぶパラソル (新字新仮名) / 夢野久作(著)
この方面においては、北は津軽の十三潟じゅうさんがた、秋田の八郎潟から、南は筑紫つくし香椎かしい潟、宗像むなかたに及んでいる。北国においては、ガタとはまた平地の湖を意味する普通名詞である。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
狭い小倉の町は、端から端まで歩いても歩き足らぬので、海岸を大里だいりまでったり、汽車に乗って香椎かしいの方へ往ったりした。格別読む暇もないのに、君はいつも隠しにドイツの本を入れて歩く。
二人の友 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
香椎かしい中将の下に第一師団と近衛このえ師団とがその任に当たることになったのは当然だとしても、叛乱軍の諸部隊が、そのまま警備部隊に編入され、それぞれの占拠地において警備に任ずることになり
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「——香椎かしいといえば、いわずもがな、ここからわずか北一里。はやそこに足利勢を見た者があるというか?」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
母親は手をさしのべましたが、思い直した様子で弟香椎かしい六郎の顔を見ました。いかに真実の弟でも、折角せっかく娘に買ってくれたお年玉に、けちをつけては済まないと思ったのでしょう。
眠り人形 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
香椎かしいなぞでは泊っている宿へイキナリ踏込まれたので、すぐに脇差を取って懐中に突込み、裏口に在ったざるを拾って海岸に出て、汐干狩の連中に紛れ込むなぞという際どい落付を見せて
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
壱岐壱岐郡香椎かしい村大字新城字ナル山
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「わたくしが目に見たのではございませぬが、今日、香椎かしいの附近の噂と聞いておりましたので」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
香椎かしいさん、兄さんはもう演奏をして帰るって言うんです、うしましょう」
天才兄妹 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
ちなみに、その伜の筆名ペンネームは夢野久作という。親父の法螺丸が山のように借銭を残して死んでやろうと思っているとは夢にも知らずに、九州の香椎かしいの山奥で、妻子五人を抱えて天然を楽しんでいる。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
壱岐いき壱岐郡香椎かしい村字江角
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
香椎かしいの踏切の前に来ると運転台から
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)