額越ひたひごし)” の例文
世間話を二つ三つしたが、油井は「は、は。」と謹んで挨拶して、煙草ばかり吹いて居る。妹は勿論一言も云はぬ。額越ひたひごしに兄の気色をうかゞつて見る。
茗荷畠 (新字旧仮名) / 真山青果(著)
見ざるもつらき貫一の顔を、したる額越ひたひごしうかがひては、又唯継の気色けしきをも気遣きづかへり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
はゞせま黒繻子くろじゆすらしいおびひくめにめて、むね眞直まつすぐにてて、おとがひ俛向うつむいて、額越ひたひごしに、ツンとしたけんのあるはなけて、ちやうど、わたしひだり脇腹わきばらのあたりにすわつて、あからめもしないとつたふう
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
で、あかはなをうつむけて、額越ひたひごしにらみつけた。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)