頂辺てつぺん)” の例文
旧字:頂邊
初見しよけん土地とちたいしても、すつとこかぶりもなるまいし……コツツンとおとのするまで、帽子ぼうし頂辺てつぺんたゝいて、めて
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この婆さんが滞在中寝て居る部屋を見せて貰つたが、下宿の一番頂辺てつぺんにあるいはゆる屋根裏で、二畳敷程の所に寝台ねだいも据ゑてあれば洗面の道具も揃つて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
齢は三十四五であるが、頭の頂辺てつぺん大分だいぶまろく禿げてゐて、左眼ひだりめが潰れた眼の上に度の強い近眼鏡をかけてゐる。小形の鼻がとんがつて、見るから一癖あり相な、抜目のない顔立である。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「一体お寺の本山などいふものは、山の腹か頂辺てつぺんかに建ててある。見るとけはしく落つこちさうで危い。そこになると、黄檗はあの通り平地ひらちに建つてゐるので、廓然からりと気持がいゝつたらない。」
暗い坂から坂の頂辺てつぺんを見れば
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
案内をしてれる梅原は朝飯を食つて居るのか、お化粧に暇が居るのか容易に近所の家の七階にある頂辺てつぺん画室アトリエから降りて来ない。サン・ラザアルの停車場ギヤアルから汽車に乗つたのは十時であつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)