音信おんしん)” の例文
東は富士河みなぎりて流沙りうさの浪に異ならず。かかる所なればおとなふ人もまれなるに、加樣かやう度々たび/\音信おんしんせさせ給ふ事、不思議の中の不思議也。
私の手紙には、早速返事があるに違ひないと思つてゐた。ところが二週間つても何の音信おんしんもないので私は驚いた。
細君さいくんところによると、かれ郷里きやうりかへつてから當日たうじついたまで一片いつぺん音信おんしんさへ下宿げしゆくへはさなかつたのである。宗助そうすけ案外あんぐわいおもひ自分じぶん下宿げしゆくかへつてた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
爾來じらい數年すねん志村しむらゆゑありて中學校ちゆうがくかう退しりぞいて村落そんらくかへり、自分じぶんくにつて東京とうきやう遊學いうがくすることゝなり、いつしか二人ふたりあひだには音信おんしんもなくなつて、たちまち又四五年つてしまつた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)