鞍馬山くらまやま)” の例文
どっちにしても、ここ二、三日のうちに果心居士かしんこじめいをはたさなければ、こんどこそ竹童、鞍馬山くらまやまからンだされるにきまっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鞍馬山くらまやま牛若丸うしわかまる天狗てんぐと剣術をやっているのがあった。その人形の色彩から何からがなんとも言えない陰惨なものである。
写生紀行 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
そのうちにて世間によく知られている話は、源義経が幼少のころ、鞍馬山くらまやまに入りて僧正坊と申す天狗に遇い、剣術を授かりたりといえる怪談である。
迷信解 (新字新仮名) / 井上円了(著)
久しく江戸に出たといううわさを聞かなかったが、陽気にうかれて二、三匹鞍馬山くらまやまからでも迷い出たんでしょうかね
鞍馬山くらまやまのおくに僧正そうじょうたにという谷があります。まつすぎしげっていて、ひるも日のひかりがささないようなところでした。
牛若と弁慶 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
かの御母堂などはどこへ出しても恥ずかしからぬ鼻——鞍馬山くらまやまで展覧会があっても恐らく一等賞だろうと思われるくらいな鼻を所有していらせられますが、悲しいかなあれは眼、口
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
武州ぶしゅう高尾たかおみねから、京は鞍馬山くらまやま僧正谷そうじょうがたにまで、たッた半日でとんでかえったおもしろい旅のあじを、竹童ちくどうはとても忘れることができない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いいながらむちでたたくまねをすると、いかさま二匹のくまはのっそりのっそりと立ち上がって、いとも器用に鞍馬山くらまやまの牛若丸を思わすような剣術の型を使いました。
といわれるにちがいないとおもって、あるそっと鞍馬山くらまやまりて京都きょうとへ出ました。
牛若と弁慶 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ぎい……とふいに、白旗しらはたみや狐格子きつねごうしがなかからあいた。そして、むっくり姿をあらわしたのは、なんのこと、鞍馬山くらまやま竹童ちくどうであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それで今若いまわか乙若おとわかとはいのちだけはたすかって、おてらへやられました。牛若うしわかはまだおちちんでいるので、おかあさんのそばにいることをゆるされましたが、これも七つになると鞍馬山くらまやまのおてらへやられました。
牛若と弁慶 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)