靈魂たましひ)” の例文
新字:霊魂
なにわすてて、狂氣きやうきごとく、その音信おとづれてくと、おりうちやう爾時そのとき……。あはれ、草木くさきも、婦人をんなも、靈魂たましひ姿すがたがあるのか。
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
むすめよ! むすめどころかい、わが靈魂たましひよ! 其方そなたにゃった! あゝ、あゝ! むすめんでしまうた、むすめねばおれたのしみも最早もうえたわ。
が、馬越は自分の身體からだ靈魂たましひも、人の助力たすけを乞はないでは、一人立ちで生きて行く力のないことを思つて、さながら一種の乞食のやうな氣がした。
仮面 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
蝙蝠と霜と物の種子たねとはわたしの自由。わたしの信仰は眞赤なくちびるの上にある。いづれの海の手に落ちるのか、靈魂たましひそなたは秋の日の蜻蛉とんぼのやうに慌ててゐる。汝は書籍を舐る蠧魚と小さく甦る。
聖三稜玻璃:02 聖三稜玻璃 (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
厭やらしく 靈魂たましひのぞつとするものを感じさせた。
青猫 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
うるみよ、うらわか靈魂たましひ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
厭やらしく 靈魂たましひのぞつとするものを感じさせた。
定本青猫:01 定本青猫 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
何といふきよらかな靈魂たましひをおんみはもつのか
おほき靈魂たましひくだりきて
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
靈魂たましひもかねもほまれもあつたものか
いづくはらず、靈魂たましひ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
おんみは靈魂たましひを奪ひ去られた人間
いづくは知らず、靈魂たましひ
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)