露出あらわ)” の例文
寝衣ねまきは半分引きめくったように、肩から胸のあたりまで露出あらわになって、男かと思われるような小さい乳房が薄赤く見えた。
半七捕物帳:05 お化け師匠 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その柔かい膝に、友染も露出あらわになるまで、石頭の拷問ごうもんに掛けて、芝居で泣いていては済みそうもないんだが。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
身には雲のように白いローブ(長いゆるやかな着物)をまとって、のどから肩のあたりは露出あらわになっていた。
肩も胸も露出あらわに、乳房のあたり咽喉のあたり焼きごてでも当てられたか、赤くただれ、皮膚かわさえけている。深紅の紐でも結びつけたように、血がはぎを伝わっている。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
現に、咽喉の切口なぞ真白い肉が貝のように露出あらわれているばかりで、血は綺麗に洗い流されている。
お葉は更にって縁先えんさきに出た。左の手には懐紙ふところがみを拡げて、右のかいな露出あらわに松の下枝したえだを払うと、枝もたわわつもった雪の塊は、綿を丸めたようにほろほろと落ちて砕けた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
……見る見るうちに水は減り周囲の岸が高く峙立そばだち、湖底が徐々に露出あらわれて来た。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
引捻ひんねじれた唇の、五十余りの大柄なおとこが、酒焼さけやけの胸を露出あらわに、べろりと兵児帯へこおび
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
母のうしろには、帯もすそもしどけなく、はぎ露出あらわに立ったるお葉のえんなる姿が見えたので、重太郎は山猿のような笑い声を出して、猶予なくその前にひらりと飛んで行った。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
と、額を撫でて笑うのに前歯が露出あらわ
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)