電柱でんちゅう)” の例文
清吉せいきちは、じっさいについて、これをろうと、すこしはなれた電柱でんちゅうのところにって、往来おうらい人々ひとびとのようすを見守みまもったのでありました。
考えこじき (新字新仮名) / 小川未明(著)
レールを七つ組み合わせるとまるくなってそれに電柱でんちゅう信号標しんごうひょうもついていて信号標しんごうひょうのあかりは汽車が通るときだけ青くなるようになっていたんだ。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それを聞くと、往来にすわっていた乞食が、ムクムクとおきあがり、ソッとあたりを見まわしてから、石門のところへしのびよって、電柱でんちゅうのかげから中のようすをうかがいはじめました。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
電柱でんちゅうに、「ほねつぎもみ療治りょうじ」と看板かんばんのかかっているところから、路次ろじがると、たりに表側おもてがわ西洋造せいようづくりにした医院いいんがあります。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
シグナルは、今日は巡査じゅんさのようにしゃんと立っていましたが、風が強くて太っちょの電柱でんちゅうに聞こえないのをいいことにして、シグナレスに話しかけました。
シグナルとシグナレス (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ふかママの森や、風やかげ肉之ママ草や、不思議ふしぎ都会とかい、ベーリング市までつづ電柱でんちゅうれつ、それはまことにあやしくも楽しい国土である。この童話集の一列は実に作者の心象スケッチの一部いちぶである。