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離房
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はなれ
ふりがな文庫
“
離房
(
はなれ
)” の例文
お増の宿は、その番地の差配をしている家の奥の方の
離房
(
はなれ
)
で、
黒板塀
(
くろいたべい
)
の切り戸を押すと、狭い庭からその縁側へ上るようになっている。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
光代と英子とは同窓なので、学校の噂でも始めたらしく、小声で話しあつてゐるので、やがて
離房
(
はなれ
)
の三人でツウ・テン・ジャックがはじまつた。
水と砂
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
お庄は
銚子
(
ちょうし
)
を持って
母屋
(
もや
)
の方へ来たきり、しばらく顔出しをしずにいると、また呼び立てられて、
離房
(
はなれ
)
の方へ出て行った。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
鍵形に母家から突き出てゐる
離房
(
はなれ
)
めいた八畳の縁側に真弓は腰かけて両足をぶらぶらさせながら、
先刻
(
さっき
)
とは打つて変つた賑やかな様子で、五郎を相手に笑ひ興じてゐた。
水と砂
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
奥深い
母屋
(
おもや
)
の
垠
(
はずれ
)
にある笹村の部屋は、垣根を乗り越すと、そこがすぐ
離房
(
はなれ
)
と向い合って机の据えてある窓であった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
彼等の起居のために
離房
(
はなれ
)
の二間があたへられた。
水と砂
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
銭遣いの荒い
子息
(
むすこ
)
がそれで締ってくれさえすれば、自分ら夫婦は早晩商売を若夫婦に譲り渡して、この春建てた裏の
離房
(
はなれ
)
へ別居してしまいたいということであった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
庭も、庭の向うに見える
縄簾
(
なわすだれ
)
のかかった
厠
(
かわや
)
も、その上に見える
離房
(
はなれ
)
の二階も、昔のままであった。
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
先生は涼しい
階下
(
した
)
の
離房
(
はなれ
)
の方へ床をのべて
臥
(
ね
)
ていた。そのころ先生の
腫物
(
しゅもつ
)
は大分痛みだしていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
笹村は視力が
萎
(
な
)
えて来ると、アアと胸で
太息
(
といき
)
を
吐
(
つ
)
いて、畳のうえにぴたりと骨ばった
背
(
せなか
)
を延ばした。そこから廊下を二、三段階段を降りると、さらに
離房
(
はなれ
)
が二タ間あった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その
離房
(
はなれ
)
は、簡素な茶室と、それにつゞいた薄暗い六畳の二室から成立つてゐた。
倒れた花瓶
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
怪しげなそこの門を入って、庭から
離房
(
はなれ
)
めいた粗末な座敷へ通され、腐ったような刺身で、悪い酒を飲んで、お作一家の内状を
捜
(
さぐ
)
った時は、自分ながら莫迦莫迦しいほど真面目であった。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ふと池の向ひの木立の蔭に
淡赤
(
うすあか
)
い電燈の影が、
月暈
(
つきのかさ
)
のやうな円を描いて、庭木や草の上に
蒼白
(
あをじろ
)
く反映してゐるのが目についたが、それは隠居所のやうな一
棟
(
むね
)
の
離房
(
はなれ
)
で、
瓦葺
(
かはらぶき
)
の高い二階建であつた。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
家
(
うち
)
の収入も減ったので、かつての庸三のぺンを執ったあの
離房
(
はなれ
)
も、人に貸すことになったし、この際少しお金をあげたいと思う。瑠美子の健康にも田舎の暮しのいいことがつくづく思われる
云々
(
うんぬん
)
。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
離
常用漢字
中学
部首:⾫
19画
房
常用漢字
中学
部首:⼾
8画
“離”で始まる語句
離
離屋
離室
離座敷
離縁
離家
離亭
離々
離別
離反