りん)” の例文
新羅三郎しんらさぶろう以来二十六せいをへて、四りん武威ぶいをかがやかした武田たけだ領土りょうどは、いまや、織田おだ徳川とくがわの軍馬に蹂躪じゅうりんされて、焦土しょうどとなってしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
行を送りて郭門かくもんを出づれば、孤鶴は秋旻しゅうびんに横たわる。環海は何ぞ茫々たる、五州はおのずからりんをなす。周流して形勢を究めよ、一見は百聞に超ゆ。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
伏しておもう、某、青年にして世を棄て、白昼はくちゅうりんなし。六魄離るといえども、一霊未だほろびず、燈前月下、五百年歓喜の寃家えんかに逢い、世上民間、千万人風流の話本わほんをなす。
牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その態度も、また訓戒口調くんかいくちょうも、甚だしく一同の気にさわった。上杉家の鬼小島弥太郎といえば、四りんにまで聞えている春日山の十虎のひとりである。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
北国勇猛ゆうもうの軍馬をご加勢に送りたいは山々なれど、四りんの国のきこえもいかが、せめては武家の相身あいみたがい、弓取り同士のよしみのしるしまでにもと、この攻城図を
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やアまた、昌仙しょうせん臆病おくびょう意見、富士の山大名やまだいみょうともある者が、あれしきの者に恐れをなしたといわれては、四りんの国へもの笑い。これよりすぐに、五湖へまいって、からめるこそ、上策じょうさく
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
開けろ。開けねば蹴破るぞ。この荘院内やしきうちに、こよい少華山の賊どもが会合しておると、訴人そにんあって明白なのだ。四りんぐうのがれんとて、遁るる道はない。賊を渡すか、踏み込もうか。いかにいかに
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)