隔離かくり)” の例文
齋藤巡査さいとうじゆんさ眞鶴まなづる下車げしやしたので自分じぶん談敵だんてきうしなつたけれど、はら入口いりくちなる門川もんかはまでは、退屈たいくつするほど隔離かくりでもないのでこまらなかつた。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
おこさせて新田につたとは名告なのらすれど諸事しよじ別家べつけかくじゆんじて子々孫々しゝそん/\末迄すゑまで同心どうしん協力けふりよくことしよあひ隔離かくりすべからずといふ遺旨ゐしかたく奉戴ほうたいして代々よゝまじはりを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そのころの一里は後世の三十六町でなく、一里は六町単位であったから、文字どおり本土からは“千里絶海ぜっかい”の隔離かくりをおぼえさせられたことであろう。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
防腐液の注射は無論彼の力に及ばぬし、氷や鹽を用いる方法も、そのかさばった材料を運び入れる困難があった外に、何となく彼と恋人とを隔離かくりする感じが、いやであった。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
さればこそ、闇太郎、雪之丞のために、軽業お初を、しばしの間この世から隔離かくりする必要が生じたので、この坊主を思い出し、湯島切通しから、かごごと盗んで、深夜かつぎこませたわけであった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
この世のあらゆる音響から隔離かくりしている伽藍がらんの冷たい闇の中から突然起った物音なのである。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
隔離かくりは完全に行われ、監禁の場所も、極秘に付された。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)