りゅう)” の例文
苗字みょうじとう、名はりゅう、つまり湯隆とうりゅうという者で、父はもと延安府えんあんふ軍寨ぐんさい長官だったそうだが、軍人の子にもやくざは多い。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「実は、りゅうちゃんはお父さん似かお母さん似か、どちらだろうと思って、君に尋ねてみたのさ。」
反抗 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
案内役の内記は式部少輔しょうゆうを兼任する官吏であった。二つともりゅうとした文事の役であるのが、しなれたようにはかまを高くくくり上げたりしてお付きして行くのもおかしかった。
源氏物語:53 浮舟 (新字新仮名) / 紫式部(著)
道志山脈、関東山脈の山々の衣紋えもんは、りゅうとして折目を正した。思いがけなく、落葉松からまつの森林から鐘が鳴った、小刻みな太鼓が木魂こだまのように、山から谷へと朝の空気を震撼しんかんした。
不尽の高根 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
やがて、御独で御膳を引寄せて、朝飯を召上ると、もう銀行からは御使でした。そそくさと御仕度をなすって、黒七子くろななこの御羽織は剣菱けんびしの五つ紋、それに茶苧ちゃう御袴おはかまで、りゅうとして御出掛になりました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
矢川は質店しちみせを開いたが成功しなかった。浅越は名をりゅうあらためて、あるいは東京府の吏となり、あるいは本所区役所の書記となり、あるいは本所銀行の事務員となりなどした。浅越の子は四人あった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
りゅうさん。何だね、この黄金かねは」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
りゅうさん。何があった?」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)