ふる)” の例文
マーキュ はて、うさぎではない、うさぎにしても脂肪あぶら滿ったやつではなうて、節肉祭式レントしき肉饅頭にくまんぢうはぬうちから、ふるびて、しなびて……
なぜ、いつまで、ふるい、狹い、文學青年的な考へから離れて、衆の文學へ、あの人達は、努力する氣になれないのか。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
人々はややふるい鰹や鰤や雞肉牛肉を嫌がらないで、実は自己等の嫌がらぬ度合のやや古い魚鳥獣肉を新鮮と名づけて居るのである。煙草を厭わぬ動物は少い。
貧富幸不幸 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
事実、自分の日常生活を支配しているものは、やっぱりふるい陳い普通道徳にほかならない。自分の過去現在の行為を振りかえって見ると、一歩もその外に出てはいない。
くまでに私が漢学を敵にしたのは、今の開国の時節に、ふるく腐れた漢説が後進少年生の脳中にわだかまっては、とても西洋の文明は国に入ることが出来ないとくまでも信じて疑わず
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「君は出來ないのさ。僕がふるければ君だつて陳いんだから。」
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
聞きふるした。○昔の小歌だ。○
無慙むざんにも色の褪せたふるいのと、今かいている新しいのと較べて見たい。もとたいへんむずかしいと思ったことが今でははっきりと分って来た。今まで思いも寄らなかったさとりがやって来た。実際今までは仕様のないぼんくらだったわい。」
ふるい習慣の抜殻かも知れないが、普通道徳を盲目的に追うている間は、時としてこれに似たような感じの伴うこともあった。あの情味が新開眼の自己道徳には伴わない。
ベンヺ あのやうな冗繁あくどいことは最早もう流行はやらぬ。肩飾かたかけ目飾めかくしをしたキューピッドに彩色さいしきした韃靼形だったんがた小弓こゆみたせて、案山子かゞしのやうに、娘達むすめたち追𢌞おひまはさするのは最早もうふるい。