トップ
>
閾
>
しきみ
ふりがな文庫
“
閾
(
しきみ
)” の例文
それに近い感情はこの頃いつも彼女が意識の
閾
(
しきみ
)
の下に漠然と感じつづけていたものだったが、菜穂子はあの孤独そうな明を見てから
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
さてこれに
他
(
ほか
)
の凡ての願ひの集まるためには、謀りて而して
許諾
(
うけがひ
)
の
閾
(
しきみ
)
をまもるべき力自然に汝等の中に備はる 六一—六三
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
姫は、大門の
閾
(
しきみ
)
を越えながら、童女殿上の昔の
畏
(
かしこ
)
さを、追想して居たのである。長い
甃道
(
いしきみち
)
を踏んで、中門に届く間にも、誰一人出あう者がなかった。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
吹くとはなくて大気のふるうごとに
香
(
か
)
は忍びやかに書斎に音ずれ、薄紫の影は窓の
閾
(
しきみ
)
より主人が
左手
(
ゆんで
)
に持てる「
西比利亜
(
サイベリア
)
鉄道の現況」のページの上にちらちらおどりぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
ここを以ちて速總別の王
復奏
(
かへりごとまを
)
さざりき。ここに天皇、
直
(
ただ
)
に女鳥の王のいます所にいでまして、その殿戸の
閾
(
しきみ
)
の上にいましき。ここに女鳥の王
機
(
はた
)
にまして、
服
(
みそ
)
織りたまふ。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
▼ もっと見る
手まはりの小道具の始末をしてゐる間にも、折折弱い心が意識の
閾
(
しきみ
)
へあらはれて来るのであつた。それを押し殺してすず子はあくる日の朝までに、すつかり仕度をしてしまつた。
計画
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
油虫を駆除するためにその一疋を糸で
括
(
くく
)
り、家内一同だんまりで戸より引き出す内、家中の一婦髪を乱して窓に立ち、その虫が
閾
(
しきみ
)
近くなった時、今夜断食の前に何をたべると問うと、一人牛肉と答え
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
農家みな冬の
閾
(
しきみ
)
を閉したり。
氷島
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
薔薇色の、天の
御国
(
みくに
)
の
閾
(
しきみ
)
から
ランボオ詩集≪学校時代の詩≫
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
宮
(
みや
)
の
閾
(
しきみ
)
のかたかげに
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
我わが第二の
齡
(
よはひ
)
の
閾
(
しきみ
)
にいたりて生を變ふるにおよび、彼たゞちに我をはなれ、身を
他人
(
あだしびと
)
にゆだねぬ 一二四—一二六
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
浄域を
穢
(
けが
)
した物忌みにこもっている身、と言うことを忘れさせぬものが、其でも心の隅にあったのであろう。門の
閾
(
しきみ
)
から、伸び上るようにして、山の
際
(
は
)
の空を見入って居た。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
いましがた見て来たあの暗い不思議な花のような
影像
(
イマアジュ
)
をそれらの言葉とは少しも関係がないもののように、それだけを鮮かに意識の
閾
(
しきみ
)
に上らせながら、診察室から帰って来た。
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
思いつめてまどろんでいる中に、郎女の智慧が、一つの
閾
(
しきみ
)
を越えたのである。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
閾
漢検1級
部首:⾨
16画
“閾”を含む語句
閾際
閾越
閾口
識閾
戸閾
窓閾
門閾
閾上
閾内
閾外