門際もんぎわ)” の例文
おりから夕暮れで豪雨が降り、どうすることも出来なかったので、豪家らしい屋敷の門際もんぎわたたずみ、雨のやむのを待っていた。
一枚絵の女 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と、宅助がつかつか門際もんぎわへ寄ってゆくと、前後してきた甲比丹かぴたんの三次が、もうそこにいた組子の者に、腰をかがめて何かしゃべっている。すると
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
このことと俊雄ようやく夢めて父へび入り元のわが家へ立ち帰れば喜びこそすれ気振けぶりにもうらまぬ母の慈愛厚く門際もんぎわに寝ていたまぐれ犬までが尾を
かくれんぼ (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
さて、三太夫さんだゆうあらためて礼して、送りつつ、落葉おちばにつゝまれた、門際もんぎわ古井戸ふるいどのぞかせた。覗くと、……
雨ばけ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ちょうど、その時分、とら門際もんぎわたつくちに工部省で建てた工部学校というものが出来ました。
霊廟そのものもまた平地と等しくそのゆかに二段の高低がつけてあるので、もしこれを第三の門際もんぎわよりして望んだならば、内殿の深さは周囲の装飾と薄暗い光線のために測り知るべくもない。
霊廟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
(と、洛東清水寺成就院じょうじゅいんの住職、勤王僧月照げっしょうの忠実の使僕しもべ大槻おおつき重助は物語った)さて裏門から出て見ますると、その門際もんぎわに顔見知りの、西郷吉之助様(後の隆盛)が立っておられました。
犬神娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
門際もんぎわまで駈け出して来て
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)