しづま)” の例文
旧字:
女房にようぼいわく、御大層ごたいそうな事をお言ひでないうちのお米が井戸端ゐどばたへ持つて出られるかえ其儘そのまゝりのしづまつたのは、辛辣しんらつな後者のかちに帰したのだらう(十八日)
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
ゾロ/\と足音が乱れて、それがしづまると、各級は皆規則正しい二列縦隊を作つてゐた。鬩乎ひつそりとして話一つする者がない。新入生の父兄は、不思議相にしてそれを見てゐた。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
セラピオンの語は、わしを平常ふだんのわしに帰してくれた。そして少しはわしの気もしづまつて来た。
クラリモンド (新字旧仮名) / テオフィル・ゴーチェ(著)
海上風波の難にへる時、若干そくばくの油を取りて航路にそそげば、なみくしくもたちましづまりて、船は九死をづべしとよ。今この如何いかにともべからざる乱脈の座中をば、その油の勢力をもて支配せる女王によおうあり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
千万のいらか今日こそ色もなく打しづまりぬ。
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)