つな)” の例文
わしが歩くのでお話もできませんが、あの村上山の景色はありませんねえ、どうも山がつながって居て、あの間にチョイ/\松が、どうも大きな盆裁でげす
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
繁子のことにつれて、もう一人の婦人のこともつながって浮んで来た。丁度、繁子と同じ程の年配で、同じようにある学校で教えていた人だ。玉子というのがその人の名だ。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
宇宙の生命とつながって脈動しているような人、その人に抱かれる時私の疲れて崩れかけて居る魂が生き生きとよみがえるような霊智の人、肉体の人、その人が私は欲しいのだ。
決闘場 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
恋人同士が手を取って月夜にそぞろ歩きをしたり、夕暮の空をねぐらにかえる鳥がつながって飛んだり、夫婦つがい鳩が巣の縁でくちばしを触れ合うところを見てさえ、彼女は真赤になっておこった。
老嬢と猫 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
感じ早い氏の頭に驚くべき速力を以て僅少の時間内にいやうへ畳み込んだ日本の百千の印象が今其の一端をつまんで引越して見ると、ぞろ/\と釣し柿のやうにつながつて際限なくめくれて来るから
露都雑記 (新字旧仮名) / 二葉亭四迷(著)
けずり立った山にそい崖にそい、長城を組んで矢倉矢倉にそれをつなげば、いくら孔明でもどうすることもできまい。そして奴らがへとへととなった頃を見て、みなごろしにする分には何の造作もない
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
川すじで、貸ボートを捨てた一群ひとむれの愚連隊たちは、柳田商会の前でうまうまとわなにかけた黒眼鏡の男を取りかこんで、誰の眼にも、何の異様も感じさせずに、北方の通りをぞろぞろとつながって来た。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と言って、二三のつながった言葉を巧みに発音して聞かせた。
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)