這入はひら)” の例文
餘所よそに見るとは何云心の人なるぞ殊には自分の身勝手みがつてのみ云散いひちらすは鬼かじやか思へば/\なさけなやと愚痴の出るも道理なり偖裏口より入んと思ふにあかり萬燈まんどうの如く大勢なる他人の居る中へかく窶然みすぼらしき姿にて這入はひらん事此家の手前も有ば如何いかゞせんと少間しばしたゝずみ居たりしにかたへに寢て居し一疋の犬あやしく思ひてや齒を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
尋ねけるに二三年以前相果あひはて娘お節は親類しんるゐへ引取れし由ゆゑ偖々さて/\變り果たる浮世かなとつぶやきながら鞠子まりこ宿しゆくこえ宇都谷たうげかゝりしにつた細道ほそみち時雨しぐれ來て心ほそくもうつゝにも夢にも人に逢ぬ辿たどり/\て岡部よりはや藤枝ふぢえだに來りし頃あとになり先になりあやなる者二三人付そひ來れば故譯わざ相良街道さがらかいだうへは這入はひらず既に瀬戸川迄來りし時日は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)