蹴殺けころ)” の例文
蹴殺けころし給ふべしと呪咀しゆそしけるに七日目の明方あけがた十歳ばかりの童子わらべかみ乘遷のりうつり給ひこゑあららげ我が本覺ほんがく眞如しんによの都を出で和光わくわう同塵どうぢんあと
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「何を、ふざけたことをかしゃアがる、れたのれたのと、そ、そんな——聞きたくもねえや。やい、どけッ! 退かなきゃ蹴殺けころすぞッ!」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
こうなっては凡夫も同じではないか? あの実方さねかたの中将は、この神の前を通られる時、下馬げばはいもされなかったばかりに、とうとう蹴殺けころされておしまいなすった。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
こう謂えばな、親を蹴殺けころした罪人でも、一応は言訳をすることが出来るものをと、お前は無念に思うであろうが、法廷で論ずる罪は、囚徒が責任を負ってるのだ。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
蹴殺けころされてもいいという覚悟でいさめたら、こんなことにはならなかったとは思わないか。
枡落し (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
盗み出し、根津の清水の花壇に埋め、あまつさえ萩原様を蹴殺けころしてていよく跡を取繕とりつくろ
そこで、一時は被害者は馬に蹴殺けころされたのではないかと疑われたが、段々検べて行くと、結局、犯人が足跡を隠す為に、自分の靴の裏に蹄鉄を打ちつけて歩いたことが分った。という話である。
何者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
さあ、帰れ、帰れ、帰れ! けがらわしい。帰らんか。この座敷は己の座敷だ。己の座敷から追出すんだ。帰らんか、野郎、帰れと云うに、そこをたんと蹴殺けころすぞ!
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)