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賣切
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うりきれ
手傳などするにぞ夫婦は大に
悦び
餠類は毎日々々
賣切て歸れば今は
店にて賣より寶澤が
外にて
商ふ方が多き程になり夫婦は
宜者を
葱の
香の
小川に
流れ、とばかりにて
句にはならざりしが、あゝ、もうちつとで
思ふこといはぬは
腹ふくるゝ
業よといへば、いま
一足早かりせば、
笹の
雪が
賣切にて
腹ふくれぬ
事よといふ。
するに空腹なる時は途中にて
困るならんと
只ある杉酒屋へ入て酒を五合
熱燗に
誂へ何ぞ
肴はなきやと問に最早
皆賣切鰹の
鹽辛ばかりなりと答へけるを
夫は何よりの品なりとて五合の酒を
振ナニ/\
飯も
皆賣切炊たのは少しも御座らぬといひつゝ武士の方を