貴下方あなたがた)” の例文
いや/\、けつして貴下方あなたがた御辛抱ごしんばうなさるにはおよばん。辛抱しんばうをするのはおうらだ、可哀想かあいさうをんなだ。我慢がまんをしてくれ、おうらうでたしかだ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
見様みように依っては、大変因縁咄めいておりましてな、貴下方あなたがたの様に新しい学問を修められた方には、少々ムキが悪いかも知れませんが、でもまあ、車中の徒然つれづれに——とでもお思いになって
とむらい機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
貴下方あなたがたがそれまで遊佐さんの件に就いて御心配下さいますなら、かうすつて下さいませんか、ともかくもこの約束手形は遊佐さんから戴きまして、この方のかたはそれで一先ひとまづ附くのですから
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
市「居ねえたって貴下方あなたがたの供だから出さねばなんねえ訳じゃアねえか」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
また全く左様そうでしやう、そでに赤十字の着いたものを、戦闘員と同一おんなじ取扱をしやうとは、自分はじめ、恐らく貴下方あなたがたにしても思懸おもいがけはしないでせう。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
また全くそうでしょう、袖に赤十字の着いたものを、戦闘員と同一おんなじ取扱をしようとは、自分はじめ、恐らく貴下方あなたがたにしても思懸おもいがけはしないでしょう。
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こっちの者になるかも知れません。しずかにしておかなければ不可いけませんから、貴下方あなたがた他室あっちへお引取下さい。警部は巡査を引連れて、静にこのを立去りぬ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
貴下方あなたがたが、到底対手あいてにゃなるまいと思っておいでなさる、わかい人たちが、かえって祖師そしあこがれてます。どうかして、安心立命あんしんりつめいが得たいともだえてますよ。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「一体、自分が通行をしてをる処を、何か待伏まちぶせでもなすつたやうでしたな。貴下方あなたがた大勢で、自分をかつぐやうにして、此家ここ引込ひっこむだはどういふわけです。」
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「これは、貴下方あなたがたの口から、そういうことをうけたまわろうとは思わんでありました。」
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)