きわま)” の例文
腹は減る、眼は痛む、足はひょろつく、という始末で進退全くきわまって我れ知らず雪の中へすわり込んでこりゃ死ぬより外に道がないのだろうという考えがつきました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
塔上に追いつめられて、進退きわまった怪物は、おめおめ降伏せんよりは、寧ろ死を選んだのである。
黄金仮面 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
く天候を見定めてから決行しないと、文字通り進退きわまるの危険に遭遇しないとも限らぬ。
源次郎は孝助のうしろから逃げたら討とうと思っていますから、孝助は進めば鉄砲で討たれる、退しりぞけば源次郎がいて進退こゝきわまりて、一生懸命に成ったから、額と総身そうしんから油汗が出ます。
と鳥居氏は進退きわまって暴言を吐いた。第一戦は良人の敗北と認めて宜かろう。
或良人の惨敗 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
し此時T氏が、西洋蝋燭ろうそくを用意(鍾乳洞へ入る時にと思ってたずさえて来たもの)していなかったら、吾等三人の一行は殆ど進退きわまったであろう。幸にも一挺の用意があったので、氏はこれに点火した。
武甲山に登る (新字新仮名) / 河井酔茗(著)
進退きわまる!
浮かぶ飛行島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
どうもそういう中ですから坐って居ることも出来ず進むことも出来ず進退これきわまって心中に経文を読んで居りましたが、その暴風は幸いにして一時間ばかり経つとヒョッとやんでしまいました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)